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空き家を貸す場合の現実と普通借家・定期借家

相続した実家を貸す前に、修繕費を家賃の何か月分で回収できるか、管理を誰がやるか、家賃相場をどう見るかを確認します。普通借家と定期借家の違い、不動産会社に払う報酬の上限、貸しても採算が合わない家の特徴も説明します。

貸す判断の順番

実家を貸すという選択は、売るより手元に残しておける安心感があるので選ばれやすいのですが、私はまず数字で確かめることを勧めています。順番は次のとおりです。

  1. 貸せる状態にするまでの修繕費を見積もる
  2. 周辺の募集家賃から、入る家賃を低めに見積もる
  3. 修繕費を家賃の何か月分で回収できるかを出す
  4. 回収期間が5年を超えるなら、貸すより売るか解体するかを先に検討する

5年という線は私の判断基準です。築40年を超えた家は、回収中に次の修繕が来ます。

修繕費

親が住んでいた家をそのまま貸せることはまずありません。借主が入居前に求める水準と、親が我慢して住んでいた水準には差があります。見積もりで出てきやすい項目は次のとおりです。

これらを合計すると、数十万円で済む家もあれば、300万円を超える家もあります。家賃6万円で300万円なら、回収に50か月かかり、その間の固定資産税と管理料は別です。年間の支出は空き家の維持費シミュレーターで出せます。

家賃相場の見方

相場は、同じ市区町村で、同じ程度の築年と間取りの戸建の募集家賃を複数見て、その下限で考えます。募集家賃は希望額であって成約額ではなく、古い戸建は値下げして決まることが多いからです。駅からの距離より、駐車場の有無と台数で家賃が決まる地域も多くあります。

媒介を依頼した不動産会社に払う報酬は、賃貸の場合、借主と貸主の双方から受け取る合計で借賃の1か月分の1.1倍(消費税込み)が上限です。居住用建物では、依頼者の承諾がない限り、一方から受け取れるのは0.55か月分までです。入居者が決まった後の管理を委託する場合、管理料は家賃の数%が相場のようですが、会社によって幅があります。

家賃収入は不動産所得として確定申告が必要です。固定資産税、修繕費、管理料、火災保険料、建物の減価償却費は必要経費になります。

普通借家と定期借家

契約の種類で、戻ってきてほしい時期に戻ってくるかが決まります。

普通借家契約は、期間を定めても、期間満了時に貸主から更新を断るには正当事由が必要です。正当事由は、貸主と借主がその建物を必要とする事情、賃貸借の経過、建物の利用状況、立退料の申し出などを総合して判断されます。自分が将来住みたいという理由だけでは認められにくく、貸主の側から終わらせるのは難しい契約です。

定期借家契約は、借地借家法38条に基づく契約で、期間が満了すると更新されずに終わります。要件は3つです。

事前の書面説明を怠ると、更新がない定めは無効になり、普通借家として扱われます。床面積200㎡未満の居住用建物では、転勤や療養などやむを得ない事情があれば借主から中途解約でき、申し入れから1か月で終了します。

数年後に自分か子どもが住む可能性があるなら定期借家、その予定がなく長く貸したいなら普通借家、と分けるのが基本です。定期借家は借主が付きにくく、家賃が下がる傾向があるので、その差も織り込んでください。

貸せない家の特徴

次に当てはまる家は、貸す選択を早めに外した方が、無駄な修繕費を使わずに済みます。

こうした家は、売るか解体するかに進みます。売る場合は売却手取りシミュレーターで手取りを、解体する場合は解体費シミュレーターで費用を出して、貸した場合の10年収支と並べてください。相続空き家の3,000万円控除は、一度でも貸すと使えなくなります。貸すと決める前に、相続空き家の3,000万円特別控除の要件に当てはまる家かを確認しておいてください。

計算に使えるツール

出典

最終更新: 2026-10-24