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共有名義の実家を売るには全員の同意が要る

兄弟で共有名義にした実家は、一人でも反対すると売れません。全員の同意が要る理由、持分だけを売る方法、共有物分割請求、所在が分からない共有者がいる場合の制度、共有にしないための遺産分割協議書の書き方を説明します。

共有にすると起きること

遺産分割で決めきれず、実家を兄弟で2分の1ずつの共有名義にする例は多いです。その場で揉めずに済むので選ばれますが、売る段階で問題になります。

共有している不動産を売ること(処分)は、民法上、共有者全員の同意が必要です。共有物に変更を加える場合も同じです。持分の過半数で決められるのは管理行為までで、売却も建替えも、一人が反対すれば進みません。

さらに、共有者が亡くなると、その持分はその人の相続人に移ります。兄弟2人の共有が、10年後には甥と姪を含めた5人の共有になっていた、という状態は珍しくありません。人数が増えるほど、全員の同意を取るのは難しくなります。

全員で売る

共有者全員が売却に同意している場合は、通常の売却と手順は同じです。媒介契約と売買契約に共有者全員が署名し、引渡し時に全員が登記に関与します。遠方の共有者がいる場合は、委任状と印鑑証明書で代理できます。

売却代金は持分の割合で分けます。手取りの計算は持分ごとに行い、譲渡所得の申告も各自がします。相続空き家の3,000万円特別控除は、要件を満たせば共有者それぞれが使えます。ただし令和6年1月1日以後の譲渡では、相続した人が3人以上なら一人あたり2,000万円になります。各自の手取りは売却手取りシミュレーターで、持分に応じた価格を入れて出してください。

持分だけを売る

自分の持分だけなら、他の共有者の同意なしに売れます。売る相手は、他の共有者か、持分を買い取る業者のどちらかです。

他の共有者に売る場合は、時価を基準に価格を決めます。評価額を相続税評価や固定資産税評価で安く決めると、差額が贈与と扱われることがあるので、税理士に確認してください。

業者に売る場合、買い取り価格は時価の持分相当額よりかなり低くなるのが普通です。買った業者は他の共有者に買い取りを持ちかけるか、共有物分割を請求するので、残った共有者は見知らぬ業者と共有する状態になります。関係が切れてもよいと決めた場合の最後の手段で、兄弟関係はほぼ修復できなくなります。

共有物分割

話し合いがまとまらない場合、各共有者はいつでも共有物の分割を請求できます(5年以内の期間で分割しない特約がある場合を除く)。協議がまとまらなければ、裁判所に分割を求めます。

裁判所が命じる分割の方法は3つです。

競売になると、市場で売るより低い価格になるのが通常です。裁判に進む前に、賠償分割の形(誰かが買い取る)で話をまとめる方が、全員の手取りは大きくなります。

所在が分からない共有者

相続を繰り返した結果、連絡が取れない共有者がいる場合、2023年4月施行の改正民法で手当ができました。裁判所の決定を得て、所在等不明共有者の持分を他の共有者が取得する制度(民法262条の2)と、所在等不明共有者以外の全員の同意で売却する制度です。取得した場合は、持分の時価相当額を供託します。相続財産である持分については、相続開始から10年を経過していないと使えません。

共有にしないための遺産分割協議書

実家を共有にしないために、遺産分割協議の段階で次のどれかを選びます。

換価分割は、売却まで一人の名義にするので売る手続きが簡単で、代金を分けても協議書どおりなら贈与にはなりません。売る予定の実家なら、この形が最も手間が少ないと考えています。書き方は司法書士か税理士に確認してください。

もう一つ、相続した土地を手放す制度として相続土地国庫帰属制度があります。建物がある土地は対象外なので、実家の場合は解体してから申請することになります。審査手数料が1筆14,000円、承認されると10年分の管理費相当の負担金を納めます。解体費は解体費シミュレーターで概算できます。

計算に使えるツール

出典

最終更新: 2026-10-24